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胃腸炎(嘔吐下痢症)の嘔吐と咳による嘔吐

小児科を受診される時の主な訴え(主訴といいます)の中で、嘔吐は、熱発、咳、鼻水などの上気道症状に次いで2番目に多い理由です。

嘔吐の原因はまれな病気を考えればいっぱいありますが、今回は日常の診療で多く見られるお腹の風邪(胃腸炎)からの嘔吐と、咳(呼吸器症状)による嘔吐を中心に見てみます。

嘔吐は胃腸炎が原因でおこることが最も多いのですが、咳込んで食べたものをもどしてしまったり、咳は少なくても呼吸が苦しいために、お腹が受け付けない感じで吐いたりします。

 

胃腸炎からの嘔吐は、お腹が動いてないため食べ物も水分も受け付けません。頻回に嘔吐すると、顔色は蒼白となり、元気がない状態になります。水分が取れないので、のどは乾き(口渇感)から水分を欲しがるのですが飲んでも吐いてしまいます。嘔吐は飲んだ水分や食べ物を吐くだけではなく胃液などの体液のロスも伴います。飲んで吐く、食べて吐くのは避けた方がいいことになります。逆に嘔吐が怖いので水分摂取を避けてばかりでは、体の水分が減少し、脱水状態になります。水分を飲ませたほうがいいのか、控えるべきなのか。判断が難しいところです。

胃腸炎の多くは6時間―12時間ぐらい嘔吐する時期(嘔吐期)が続き、少しずつ水分が治まるようになります(回復期)。人によって嘔吐期の長さが違います。いつから水分が治まるかはわからないため、少量ずつ水分を与え、治まる時期(回復期)を探るのがいいと思われます。水分が少量でも治まり始めると回復期にはいったことを示しています。水分を取れれば脱水症は起こらないため後はゆっくりとお粥、うどん、パンなどの炭水化物から普通食へ進めていけばいいと思います。栄養面はその次でいいです。

水分が治まらないのが長くなれば点滴がいいと思います。点滴をすると顔色はピンクになります。循環がよくなるためです。夜間は点滴をしてもらえる病院が少ないので、朝に病院を受診されることになります。

一方、咳による嘔吐は“比較的扱いやすいです”と話しています。それはお腹の調子が悪くないので、水分や食べ物を受け入れることができますので、脱水などの心配は少ないです。

もう1つは、喘息発作などで見られるのですが、呼吸困難があると嘔吐します。これは呼吸が苦しいため、水分も、固形物もお腹が受け付けません。喘息発作が長い時は、喘息の治療と、水分補給の点滴と同時に必要になります。

追加ですが、小児は熱が出ると嘔吐することがしばしばあります。この場合胃腸炎が伴っているのか、熱による嘔吐かわかりにくいこともあります。熱による嘔吐の回数は少なく、1-2回の事が多い感じです。またこの子は熱が出ると“よく吐くのです”とお母さん方が知って見えることもあります。

冬は嘔吐下痢症が毎年見られます。現在も流行っています。