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新型コルナウイルス大流行により、季節性インフルエンザウイルスや、その他のウイルスの流行はどのように変化したのか?ウイルス干渉?

ある1種のウイルスが大流行すると他のウイルスが鳴りを潜(ひそ)める現象は以前から知られていました。
これをウイルス干渉といいますが、これが

①間社会の中で起こるのか(皆が感染対策をすることにより、他のウイルス感染症が減少したように見える)
②ウイルス同士のせめぎあいで起こることなのか?
③人の細胞内で起こっていることなのか?
よくわかっていないのが現状です。

実際にここ2―3年間、ウイルス感染症がどのように変化したのかを書きます。
初めに、季節性インフルエンザウイルスです。毎年12月から翌年の3月、時に4月ごろまで大小の流行が見られます。
しかし、2020年1月に新型コロナウイルス感染症の流行が始まりましたが、その年の季節性インフルエンザは、前年(18年―19年シーズン)の3分の1にとどまり、20年―21年シーズン、21年―22年シーズン(今年)は季節性インフルエンザウイルスの流行はありませんでした。
ロタウイルスについては20年にはほとんど感染者がいませんでした。
しかし21年7月に流行がみられたとする地域もありました。
夏に流行するエンテロウイルスにより発症する手足口病、ヘパンギーナは、大きく減少し、ここ3年間はお目にかかっていません。
RSウイルスは1歳以下の乳児が感染すると、時に細気管支炎を発症し入院が必要となることがあり、テレビでも流行がニュースになります。
このRSウイルスは20年には感染者が減少しましたが、21年には春から夏にかけて大きな流行がありました。
突発性発疹症は、“突発疹”と呼ばれ、解熱後に全身発疹が出るなじみの疾患ですが、この病気は新型コロナコロナウイルス流行でも減少していないといわれています。
感染が両親や兄弟の唾液から感染するとの仮説があり、コロナ環境下で、ステイホームが強いられ、家族での接触機会が多くなり、感染者が減少しなかったと思われます。

いろいろのウイルスの動き、そのウイルスによる感染症をみていると、新型コロナウイルスとの単純な干渉ではなく、人間の感染防御努力の影響であったり、ウイルス同志の力関係であったり、多くの要素が絡み合って起こっている現象であり、理解が難しいのが現状の様です。
新型コロナコロナは人にも、他のウイルスにも大きな影響を与えました。
人間社会に大きな教訓も提供しました。
しっかり分析して、今後の参考になる情報が沢山得られることを願っています。