痰が伴う咳は、日中より夜間に多く出ます。ベッドに入る時間帯になると咳が増えて、1度寝付いても咳で目が覚めます。このような状態が1晩で数回繰り返されると、本人も、お母さんも睡眠不足になります。お母さんに“夜間咳で目が覚めたとき、何をするのですか?”と聞くと母乳を飲ませたり、水分をとったり、抱っこしてあやしたりすると言われます。水分摂取はいいことと思います。水分をとると、気管支の中にたまった痰が水分でふやけ、咳で喀出しやすくなります。部屋を加湿することも効果的です。理由は水分摂取と同じで、痰が出やすくなります。また抱っこして立位にすることも、呼吸が楽になります。喘息などで強い発作が起きたときは“起坐呼吸”と言いますが、横になっていることはできません。ベッドで起き上がると呼吸しやすくなります。これほどひどい子は少ないと思いますが、呼吸は座位の方が寝ているより楽になります。
痰が絡み、夜間の睡眠を妨害する咳は、風邪というより気管支炎です。この気管支炎はアレルギー疾患に分類され、気管支が弱いとか気管支が過敏と呼ばれます。感染症の気管支炎もあります。風邪の炎症が気管支まで広がったときに起こります。
ここで、風邪と気管支が弱い子(気管支が過敏な子)の咳の違いを見てみます。
| 風邪の咳 | 気管支の弱い子の咳 | |
| 咳の質 | 乾燥した咳 | 痰が伴う湿性の咳 |
| 咳の長さ | 1週間ぐらい | 長い、2-3週間以上続くことも、 |
| 運動の影響 | 少ない | 走ったりすると咳が出る |
| 咳の頻度 | 少ない | 1ヶ月に2回の時もあり |
| 季節性 | 冬に多いですが 傾向はない |
春、秋など気温の変化が強いときに多い |
| 遺伝性 | 特になし | 両親、両親の祖父母、両親の兄弟に咳が多い方が見える |
| 咳の多い 時間帯 |
特になし | 夜間に多い、寝る時間帯に多い。 朝起きた時にも咳が多い、睡眠を妨げる |
| 呼吸が苦しい | 多くはなし | しばしば呼吸困難を伴います |
| 鼻水 | 伴う | 伴う アレルギー性鼻炎による鼻水 鼻水が咳に先行する時もあり |
| 呼吸音 | 呼吸音はきれい | ゼロゼロ、ヒューヒューなど喘鳴 |
以上の様な違いがあります。気管支の弱い子の咳は、明らかに風邪とは異なりますが、はっきりした病名がついていません。気管支喘息の軽症型でもいいと思いなすが。以前には喘息様気管支炎との病名がありましたが、最近は何故か使われません。気管支が弱いね!喘息傾向があるね!などやや曖昧な病名が使われています。
気管支が弱い子たちの予後はどうでしょうか?予後とは少し難しい言葉ですが、年齢を重ね成人になったとき気管支の弱さは、その症状はどのように変化して行くのかと言うことです。多くは、気管支の弱さは改善され、咳の頻度は減少すると思われます、しかし、持っている気管支の性質は成人後も多かれ少なかれ続いて行く様です。
もう1つ、患者さんの中に誤解があると感じていることがあります。先ほども述べましたが、痰が伴う咳は時に鼻水が先行します。そのため、その後に出てくる咳が、鼻水のため咳が出ていると考えて見える方がよく見られます。胸がゼロゼロするとのどに鼻水が落ちて咳を誘発していると思われるようです。しかしこのゼロゼロは気管支から分泌された痰が原因で起きています。鼻水は嚥下されて胃の方に流れ、気管支には影響ありません。鼻水を止めても咳は治まらないことになります。