日本では2010年に小学校6年生―高校1年生を対象に原則無料でHPVワクチン接種が始まりました。接種率は70%前後と比較的高い接種率を示しました。
2013年4月から定期接種となりましたが、接種者の中に、しびれ、全身の痛み、計算ができなくなった、通学できないなどの副反応と思われる訴えがでて、厚生労働省はHPVワクチン接種の積極的な勧奨を一時控えるとしました。その後HPVワクチンの接種率は
1%まで低下しました。しかしその後、“名古屋スタディー“などの調査報告書がだされ、
また、スウェーデンから、HPVワクチンが子宮頸がん患者を実際に減少させるとのエビデンスが報告され、HPVワクチンの価値が高まりました。今回は日本のHPVワクチン接種がまだ低いことと、英国、豪州でのHPVワクチンの効果をご紹介します。

図 1 2024年 海外のHPV接種率
上図1は2024年の各国のHPVワクチン接種率を示しています。カナダやオーストラリアは男子、女子ともに80%を越えています。日本では女子は36%、男子のデータはありません。男子のHPVワクチンは定期接種になっていませんが、補助金が出て、勧奨している自治体もあります。しかし、男子もHPVワクチンを接種するメリットがあることを知っている方は多くないと思われます。

図 2 HPVワクチンの効果
図2は英国でのHPVワクチンの効果を示すデータです。
英国は2008年からHPVワクチンの接種が始まりましたが、2000年から2024年まで5年ごとに、20歳から24歳の若い女性の子宮頸がんによる死者数を示しています。2015年から2019年には5人の死者数がありましたが、2020年から24年の5年間には死者数が0人となりました。

図 3 HPVワクチン効果 豪州
図3はオーストラリアでのHPVワクチンの効果を示しています。図はHPVの感染率を見ています。ワクチン接種してないグループ(ワクチンプログラム前)の感染率を100として、ワクチンプログラム後(HPVワクチン接種グループ)は感染率が22%に減少しています。HPVワクチン3回接種群は3%となり、97%の減少でした。またプログラム後にワクチン接種をしなかった人も、HPVの感染率が減少しています。周囲の感染者が減少すれば、ワクチン接種をしない人も程度の違いはありますが、減少することを示しています。これほど効果がはっきり出るワクチンは多くはないと思います。日本ではまだ十分な効果を示すデータはありませんが、もうすぐ、欧米と同様の効果を示す結果が出ると思われます。