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低身長症について

今年になって、新型コロナウイルスが大流行し、話題は何かと新型コロナウイルスに偏っていたように思われますので、今回は低身長症を取り上げてみました。

低身長の定義は-2SD(標準偏差)以下とされています。
このSD(標準偏差)は統計上の言葉で、理解するのは難しいのですが、母子手帳に身長・体重曲線が載っています。これの一番下のラインが、ほぼ-2SDのラインと同じになります。従て、母子手帳に身長を記録し、このライン(3パーセンタイルと言います)より下の時、低身長と言います。2-3年前から学校も、身長・体重曲線を活用し、生徒個人の身長・体重を記録しています。学校に問い合わせれば、この記録を見せてもらえると思います。

低身長の原因はいろいろありますが、今回は成長ホルモン分泌不全性低身長とSGA低身長について、もう少し詳しく書いてみます。
1)成長ホルモン分泌不全性低身長は、成長ホルモン分泌が少ないために低身長になります。
検査の実際は、2つの成長ホルモン分泌負荷試験を行います。ある薬を1つは点滴し、もう1つは経口で薬を服用し、下垂体からの成長ホルモンン(GH)の分泌量を、経時的に採血して測定します。両検査とも血中GH濃度が低値の時、成長ホルモン分泌不全性低身長と診断します。検査は約2時間で終了し、危険も少なく、土曜日の午前中、朝食抜きで受診してもらって、昼には終了します。予約は必要です。
治療は体重から計算した量のGHを1週間6回あるいは毎日皮下注射します。皮下注射は小学校高学年になれば、自分で、大腿部、腹部の皮下に接種できるようになります。
GH接種による副作用は、GH治療前にしっかりお話しします。治療をやめようと思うほどの副作用はないと思っています。

2)SGA低身長は出生児の身長・体重が一定の基準以下で、3歳になっても身長が-2.5SD以下にとどまる子が対象になります。出生時の体重・身長の一定の基準と書きましたが、これは受診していただいたときに見ていただきます。
SGA低身長は、検査は上記のような負荷試験が1つ必要ですが、負荷試験の結果で判断されることはなく、GH治療が可能です。
これは、低出生体重児で生まれた子が、ある年齢になっても、-2SD以上にならない時は積極的に治療を援助しようとの考えが基本にあります。
従って、SGA低身長と診断できれば、即GH治療可能ということになります。
SGA低身長は、GH治療が比較的簡単にできるのに、しばしば見落とされています。出生体重が小さく生まれた方は1度相談してみてください。