気管支の過敏性がある子の咳は次のような特徴を持っています。箇条書きにしてみます。
- 咳が長い。通常風邪の咳は1週間ぐらいで治まりますが、気管支の過敏性を持った子の咳は2-3週間以上続きます。
- よく咳が出る。小児は1年間で平均8回ぐらい熱が出ると言われています。これがすべて風邪とすると咳は年に8回ぐらい出ることになります。気管支の過敏性がある子は、季節にも関係しますが、2週間に1度咳が出ることもあります。
3)痰が伴う咳。子供は痰を口から吐き出すことはほとんどできません。従って口から痰が出ることで、痰が伴う咳と判断しているのではありません。咳の音で判断します。
- 夜間に咳が多い。床に入ったとき、深夜に急に咳が出て、睡眠を妨げます。朝起きたときに咳が一杯出て、夜間にたまった痰を気管支から排除します。
- 走ったり、運動したりすると咳が誘発される。マラソンの後に咳が出る。大笑いした時も咳が出る。
- 夜間に呼吸音がゼロゼロ、時にヒュー音が伴います。これも睡眠の妨げになります。
- 遺伝性があります。家族や近い親戚に咳の多い方が見えます。気管支喘息と診断されている方や、診断はされていないが、咳が頻回に出る方。小児期に喘息であったと言われるか、気管支が弱いと言われている方が見えます。
- 咳がよく出る季節がある(季節性と言います)。個人差がありますが、春、秋の気温の変化が大きいときに咳が頻発する方が多いように思われます。
9)多くの場合、熱は出ません。しかし、熱が出ることが、過敏な気管支を刺激して、痰
が伴う咳が出ることがあり、熱を伴う風邪が、気管支炎になり、咳が長引きます。
以上のような特徴を持った咳が出る子の将来はどうでしょうか?私自身は比較的楽観的に考えています。
気管支の過敏性は基本的には、気管支喘息と同じ機序の疾患と考えられます。おそらく気管支の過敏性の程度の違いによって、症状が重いか軽いかが決まると思われます。過敏性が強いヒトは、気温の変化に気管支が強く反応し、気管支が狭くなり、呼吸困難が出ます。このような状態を発作と言いますが、発作が出ると、入院して点滴して、酸素が必要になる方から、経口薬、通院による吸入治療で発作を乗り切れる子まで、症状の強さとその治療が大きく異なります。同じ喘息でも症状の強さに応じた治療をすればいいことになります。軽度の咳発作の子は、ステロイドの吸入などが不要です。
小児の気管支喘息は70%が治ると言われています。気管支の過敏性も年齢とともに軽減し、少々の気温の変化には反応しなくなるように感じています。幼児期、咳と呼吸が苦しいため頻回に受診していた子が、年齢と伴い受診がなくなることがよくあります。気管支の過敏咳が減少し、咳発作が起こらなくなったと思われます。
このようなタイプの咳を、しばしば風邪の咳と思われていることがあります。風邪と違って咳が長引くこと、咳の出る頻度が多いこと、ときに呼吸が苦しいなど、日常生活に支障をきたします。また呼吸困難が強い時は治療が異なります。家族歴なども診断の参考になります。