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RSウイルスワクチンが来年(2026年)4月から定期接種へ

RSウイルスワクチンは妊娠中の母体にワクチンを接種(在胎28週から36週の間に)します。その後2週間程度で母体中にRSウイルス抗体が産生され、これが胎盤を通じて胎児に移行し、出生後の赤ちゃんがRSウイルス感染症に罹患するのを防ぎます。効果は約6ヶ月と考えられています。このタイプのワクチンは初めてです。今までのすべてのワクチンは当人にワクチンを接種し、自分で抗体を作り自らを守るタイプのワクチンです。

 

このRSワクチンは理にかなっていると思われます。出生直後の赤ちゃんにワクチンを接種してもなかなか抗体ができません。しかも、できたとしても時間がかかります。胎内で母体から抗体をもらって、出生直後から感染症を防御できるメリットがあります。

百日咳のワクチンは5種混合として、生後3ヶ月目から接種が始まりますが、出生から抗体が産生されるまで約2ヶ月半の間に、百日咳に感染し重症化する例があります。このような症例をみると、母体から受け継いだ抗体を持って出生することの価値がわかります。

上図は2018年から2025年まで8年間のRSウイルス感染者数を示します。横軸は週数を、縦軸は定点あたり1週間の患者数を示します。季節性インフルエンザなどでは定点あたり“1“を越えると流行の兆しがあると判断され、”30“を越えると警報が出されます。季節性インフルエンザの流行と比べるとRSウイルス感染症の流行は規模が小さく、最も流行が大きかったのは2021年の29週(7月下旬ごろ)で”6“でした。

元々RSウイルスは冬期感染症と考えられていましたが、年々変化し今や夏に流行するウイルスに変化しました。ほぼ年中はやっていると言えそうです。

 

RSウイルス感染症の疫学、症状、感染様式について紹介します。

生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の乳幼児が1度は感染し生涯何度も感染します。生後6ヶ月以内の感染は細気管支炎や肺炎になり、重症化しやすいとされています。

症状は発熱、鼻汁、咳が数日続き、細気管支炎になると喘鳴(ゼーゼーした呼吸)や呼吸が苦しく、ミルクが飲めないなどの症状が伴います。ミルクが飲めるかどうかが重要な症状と考えています。ミルクが飲めないのは呼吸が苦しいためです。

感染経路は風邪と同様、飛沫感染と手指を介した接触感染です。

予防方法は流水・石けんによる手洗い、アルコール製剤による主旨衛生を行うことが大切です。マスクなども進められています。