愛知県でも、季節性インフルエンザの流行が始まりました。記事を書いているのは11月7日ですが、11月4日にインフルエンザ流行の注意報が出ました。注意報は定点あたり、1週間の患者数が10を越えたときに出されます。インフルエンザの大流行時には定点あたり、1週間で60-80となりますので、今のところ、まだ数分の1です。

上図は、全国のインフルエンザ発生状況を10年間見たものです。縦軸に1週間、1定点あたりの患者数(各都道府県の平均値)を、横軸が1年間を週数で表しています。図の左隅と右隅にインフルエンザの流行があり、中央部はインフルエンザの流行はありません。各新年の第1週から数週間は、その前年のインフルエンザ流行が継続し、19週(5月初旬)ごろに前年のインフルエンザ流行が終息します。暖かい季節が始まると、インフルエンザは姿を消します。秋に近づき気温が下がり始めると、早いときには35週(8月下旬)から、遅いときは43週(10月下旬)ごろから新たなシーズンのインフルエンザ流行期に入ります。新シーズンの流行開始が徐々に早くなっている傾向が見られます。以前は45週(11月初旬)前後に流行開始が集中していますが、空色の2022年は35週(8月下旬)から曲線が立ち上がり、赤色で示す今年2025年は40週から流行の兆しを見せています。またインフルエンザの流行のピーク時期ですが、以前は、翌年の1、2月にありましたが、2024/2025年シーズンは前年の2024年12月にあり、翌年(2025年)の1月は終息傾向となっています。インフルエンザの流行開始、流行のピークはともに少しづつ早くなってきているかもしれません。
次に、新型コロナウイルス(コロナと略します)の流行と季節性インフルエンザ(インフルと略します)の流行がどのように絡み合っているのか見て見ます。上図は細かくて見にくいのですが、新型コロナウイルスの流行開始時2020年1月時点での季節性インフルエンザは定点あたり注意報レベルの20弱でした。かなりはやっていたことになります。しかし、その後コロナの流行にともない、インフルは徐々に減少し、年末の流行は見られませんでした。翌年の2021年は図では空色の縦のバーですが1年間ほとんどインフルの流行はありませんでした。2022年は、2021年と同様インフルの流行はありませんでした。2022年50週(12月初旬)に定点あたり2程度の流行が出現し、2023年1月、2月には定点あたり10ぐらいの注意報レベルの流行が見られ、4月ごろまで流行が続きました。例年のパターに戻ったことになります。その1ヶ月後、5月8日にコロナは1類感染症から5類感染症に変更になりました。
明らかにコロナの流行はインフルエンザの流行に大きな影響を持っていました。コロナウイルスがインフルを押しのけてしまったように見えます。
この原因として1)多くの人がマスクなど感染防御をしたこと 2)海外旅行など人が移動を控えたこと 3)患者さんの受診行動の変化 4)ウイルスの干渉などが理由として挙げられていますが、よくわかっていません。またの機会に考えてみたいと思います。
上図はやや見にくいので、愛知県インフルエンザ発生状況の図を紹介します。5年間の記録なのでやや見やすいと思います。2020年の曲線はありません。
